あまりかたちのわからないもの

別に人生遠回りしてもいいかなっていうブログ

すでにあるものとあたらしいもの

 

先日立教大で行われたポートランドについての集会に参加した。

 

ポートランド州立大学でシニアフェローとして活躍をする柳澤恭行先生を招いて、ポートランドのまちづくりのキーワードを紐解いていくという内容だった。

ポートランドといえば住民参加型のまちづくりで有名で「生き生きした街」というイメージがあるかもしれない。その証拠に街全体で面白いイベントが毎日のように模様されてはいるが。

 

しかし、よくよく見てみると、ポートランド発祥というイベントや文化は意外と少なかったりするように思える。

 

紹介の中で「Portland Soapbox Derby」( https://www.soapboxracer.com ) というイベントがあった。

手作りの台車に乗って坂の上からビューンと山の上から降りるイベントだ。

 

へんてこな車やかわいい車など個性が強い車が降りていくこのイベントだがポートランド発祥ではないらしい。

 

ほかにも、いまポートランドではシェア電動スクーターが上陸し、街中を走っている。

これも実は西海岸全体ではすでに存在していて決してポートランド発祥のものではない。

 

しかし地元の人はまるで自分たちの文化であるかのように楽しみ、はっちゃける。

ここにポートランドマインドがあると思う。

 

やりたいからやる

ポートランドでは行政がイベントを催すことはあまりない。主催者はいつも市民だ。街自体はイベントの開催は奨励するが、運営や管理は行わない。せめて交通規制くらいだ。

それでも毎日どれに行こうか選べないほどのイベントが行われている。(個人的なものもあるが)

 

ここに住民参加の活発さを見ることができる。イベントの大小かかわらず「やってみたいから」という動機でイベントが企画できる。そこにはきちんと運営面での成功が求められる。

ちょっとしたイベントでも、それが成功すると企画のハードルが下がり、だれでも気軽に発案が可能になる。これは想像に難しくない。

 

だからポートランドには「どこかでやってたイベントをポートランドにも持ってきたい」とか「自分がただやってみたいから」とかそういう理由で行われているイベントが多い。

 

それが側から見ると「なにやってんの笑笑」というクオリティだったり、飛び抜けて馬鹿なことだったりする。しかし本人たちは真剣にその馬鹿をやっているのだ。それがポートランドという見え方なんだろう。

 

その日はそれで終了し、決してポートランドはオリジナリティは高くないんだなと思ったくらいだったのだが、そのあと2日間くらいで思ったことがある。

 

「誰もやってないことをやるのも大事だけれど、すでにあるものをさらに広めて価値を高めていくこともまた大切である」

 

こういうことは環境問題とか社会をよりよくする活動に対してもっとこういう、「誰かがやってるやらないにかかわらず、自分がいいと思ったことをやる」という考え方が広がればこの社会はもっと良くなるんじゃないかなと感じた。

 

ビジネスだと、これは同じものが増えるだけで商業的価値が見出しづらいのかもしれないが、そうじゃなくて、すでにあるものをさらに維持発展させていくことにも価値があると思う。

 

そんなことをポートランドのまちづくりから学んだ日であった。